グーバイクにバイクブロス、中古バイクが欲しいなぁと思ったら真っ先に開くWebサイトの代表格ですよね。
何とか安くいいものを手に入れようと思うのが人情というものですよね。
なかなか中古車専門サイトに、手の届く価格でバイクがないということでネットオークションで車体を探して、購入を検討しているという人もいるでしょう。
ネットも本当に良し悪しで、出品者のコメント欄でけんかになっているようなものも珍しくはないですね。商品や取引の面でいろいろとトラブルが発生して大変なようです。
筆者は中古車販売店に勤めていたこともあり、ネット媒体にバイクを掲載していただく立場だったこともあります。
また、プライベートでも、部品を一つ一つネットオークションで落札しながらTZR250Rを作り上げたこともあります。
そんな経験から、自分の身を守る中古車バイクの賢い探し方と、ネットオークションをオススメしない理由についてお話しさせていただきます。
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Contents
バイク中古車を選ぶために必要なこと
これまでも、中古車の選び方についてはいろいろな角度からお話をさせていただいたのですが、共通したところをまとめると、
- 車種を大方絞っておく
- ネットでバイクの距離、年式、程度に応じた相場を把握する。
- 掲載地域の中で最寄りのショップを選んで実車を見に行く。
- ショップの対応を見て、長く付き合っていけそうか判断する。
このように具体性を付けながら目ぼしい車種を決めていきます。
そしてただ安いのではなくて、値段とサービスが納得いくところで購入するのがベストであるという旨お伝えしてきました。
関連記事 → バイク中古車の選び方と考え方
おおむね、以下の表にまとめたような基準で中古バイクを選んでいくとトラブルや失敗が少ないです。
1.車種を大方絞っておく |
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2.ネットでバイクの距離、年式、程度に応じた相場を把握する。 |
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3.掲載地域の中で最寄りのショップを選んで実車を見に行く。 |
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4.ショップの対応を見て、長く付き合っていけそうか判断する。 |
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おおむねこの手順や基準を参考にして選んでいけば、お目当てのバイクを安心して手に入れることができるでしょう。
実際にバイク中古車を選んでみる
ではさっそく実践編ということでバイクを選んでいってみましょう。
1.買いたい・欲しいバイクの中古相場を把握する
今回は、具体的に筆者が皆さんと一緒に中古車を選びなががら、購入をシュミレーションしていきたいと思います。
筆者は、ヤマハのWR250Rというオフロードスポーツバイクに乗っていたのですが、1年以上前に引っ越しや子育てなどの都合で、やむを得ず売却してしまいました。
家にあるオフロードブーツや、オフのヘルメットをみるにつけ、いつかはまた買い戻してオフロードを楽しみたいと思っています。
とはいえお財布のなかのお金は忙しく出て行たきり帰ってきません。お寒いというか氷河期状態、おいそれとは70万円以上の新車を購入することもできません。
というわけでまずは、バイクブロスでWR250Rを見てみることに。
※クリックで拡大
とくに地域指定をせずに見ると大体178台くらいが出てきます。そして、ざっと見ていくと55万円~59万8千円くらいが相場なのがわかります。
このくらいの上限だと、中には新車に近い新古車や、距離が行っていても社外品の装備が充実したもの等がいくつか出てきます。
中古車選びが面白いのは、中にはこうしたアフターパーツが最初からついている個体が選べることですね。
諸費用込みで60万円前後、新車から考えればわるい条件ではないのですが、今回予算的には半分の30万円台で込々にしたいと考えています。
なので、40万円を限度に条件を絞りました。
結果として2台のWRが上がってきました。
内容的には大阪と京都のお店で、片方が’07年式22928km 、39万9千円のもの。もう片方が’09年式、32317km39万8千円で、この車両の左のシュラウド部分に目立つ傷があります。
値段を下げると、以下のような特徴がより強い傾向になることに注意しておきましょう。
- 年式が古くなる
- 走行距離が増えるか
- 傷が多いか
- あるいはその両方
これらの問題点が自分にとってクリアできるかどうか判断をする必要もありますし、現車をしっかりと見てチェックする必要もあるので気をつける必要があります。
ちなみに車両価格をここから35万円以内に絞ると一台も検索されませんでした。ですからこの車種においては、程度的にこれが最低ラインということになります。
もちろん事故歴がないというのを大前提にしてですが、安いものは使用歴が長いですから、どうしても劣化の早い消耗品がどうなっているかが気になります。
安くても後でお金がかかっては仕方ありませんからね。
ちなみにもしも同じジャンルのバイクでも妥協できる、と言う場合にはマイナー車を狙うのもありです。金額も安くて高年式である場合がありますからね。
2.車種の情報には詳しくなっておこう
安い中古車を候補に選ぼうかというときに知りたいのは、フロントフォークのオイルのにじみの有無、エンジン音特にタペット音の大きさ、タイヤやチェーンの痛み具合です。
またWR250の場合、燃料タンクに不具合があってリコール対応をきちんと受けたかどうか、ステムに[Y]マークのステッカーがあるかどうかで判断できます。
しかし、この二つのお店には動画がないため、外見的には消耗品の消耗度くらいしかチェックできません。
実車を見たいところですが、名古屋から通うのは非現実的です。
そこで条件を少し緩和させてみると、愛知県で車体価格50万円、すると1台だけ検索されました。’07年式でなんと4804km そして48万円ぽっきりです。
全国でこの相場はどうなのか「愛知県」を外してみて見ると、割と年式や距離の若い個体や、同じ’07年式なら1万キロ未満の若い車両がありますね。
ですのでこのあたりがWR250Rとしては手ごろな相場なのが見えてきます。ただ愛知の車両に関しては、「フルノーマル」と銘打ってあるのにもかかわらず、明らかにローシートがついているのが気に入りません。
例えばそういうことなんです。短足な筆者にはありがたい話なんですが、コメントと車体の状況が一つでも違ったらアウトだと思ってください。
筆者は元オーナーでしたから、車両の状況や情報を把握しています。
ですが、知らないで買ってしまうと、あとあとの不具合やパーツの変更にも気づかないままなので、選ぶ前は必ずそのバイクの情報特にノーマル状態の特徴やスペック等について把握しておくべきです。
WRの場合はフロントフォークだけでも年式や仕様によって何色かのフォークがあります。外装色とフォークの色が違う場合は、事故車・2個1車の可能性があります。
幸い、バイクブロスにはその車種の全年式の外装や特徴が横乗っていますから、めんどくさがらずに見比べることが重要です。高い買い物ですからね。
3.実際にお店を覗いてみよう
この状況だと、このロ-シートのWRが愛知県内の最有力候補なわけですが、別にこの個体をこのまま購入しなくてもいいのです。
近隣でもう少し条件に近い個体がある場合には、そのお店に行ってみて、お店の人のサービスも気に入るようだったら、そこでの契約もアリです。
もちろんこのままローシートの個体を選ぶという選択肢もありますが、もっと賢くいい方法があります。
今回はあくまでも相場が把握できたわけです。
バイクブロスやグーバイクはかなり広範囲の中古車情報を網羅してはいますが、100%というわけではないのです。
逆に一見さんを嫌ってネットに出していない、頑固なお店というのもあるものです。
そんな店頭にあるWRを見たときに、店頭価格や程度が今まで見たものと比べた中でどの程度に位置するものか把握できているはずです。
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4.お店とのコミュニケーションを大切にしよう
ただ値段を少しでも交渉してもらいたいときには、何度か通いましょう。
何回か通って「いろいろ考えてお宅にします」ということであれば、値引きも若干考えた価格にしてくれるのではないでしょうか。
その上で、他店やネットでの価格を話すと、結構頑張ってお勉強してくれるケースはあるものです。お店の人ととは特にコミュニケーションをとって、顔を覚えてもらうくらいになっているというのも値段のうちだと考えましょう。
そのころにはお店の様子もわかって器用な店かどうかも理解できると思います。
さて、筆者はこうして相場を把握し、お店とのコミュニケーションを大切にして数多くのバイク手に入れてきました。
その結果ちょっとわがままなお願いも聞いてくださったり、バイクが再起不能?となっても窮地を救ってくださったり、イベントの顔になったりと購入店とは厚い付き合いが今でも続いています。
どう少なく見積もっても、安いバイクをネットで見繕って、その場で購入というのはそのバイクと付き合っていくことをトータルに考えて損だと思っています。
素直に買ってはいけない中古バイクの特徴と傾向
中古車探しのリスクといっていいかもしれませんが、それは折り合いをつけたはずのポイントがごまかされていたり、見誤ったりする可能性があることです。
これはつまり期待通りの性能を発揮しない、さらには余計に修理費がかかる可能性があるということです。
良心的なお店がほとんどではありますが、悲しいことに中古車販売店を廻ってみると、哀れな個体を目にする場合もあります。
ではどういった点に気を付けて中古車を見ていけばいいのでしょう?
究極的に言うと、次のようなバイクは二つ返事で買ってはいけません。
点検個所 | 重視すべきポイント |
フロント周り |
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ステム周り |
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フレーム周り |
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タンクまわり |
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エンジン回り |
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リア回り |
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外装 |
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このような感じになっています。
それぞれは経験上見抜ける部分でもありますが、中古バイクを購入するときには少なくともこれらを現物と照らし合わせながら確認していくといいでしょう。
また、タンクの中身などを見せてもらえない場合などには警戒したほうがいいです。
ネットオークションをおすすめしない理由
さてここまでお読みいただくと、ネットオークションがオススメではない理由というのは大方お察しいただけるのでないかと思います。
そもそも中古のバイクを選ぶということは、ある程度の劣化を見込んで、「このくらいの予算だからきれいなものを期待したい」と思うことでしょう。
また反対に「予算が少ないのである程度の劣化は許そう」とどこかで折り合いをつける作業だと言っていいでしょう。
ですからこちらが融通しようとしている範囲を逸脱するということが怖いわけです。
先述のように、ポイントを知って触ればわかることもありますし、わからないようなものもあります。
つまり、前提知識なし、現車確認なしでバイクを買うのは非常に危険なことなのです。
特に個人売買は、売り手も不具合に気づいていない場合もありますし、ナンバーの返納や名義変更も不慣れなため、トラブルが生じやすいという目に見えないリスクがあります。
また、オークションで動画を付けているのであれば少し見どころはありますが、そのバイクに対する商品知識を持っていない人が見るのであれば、やはりお勧めではありません。
バイクのオークション利用をオススメできる人
不覚にもべからず集ばかりになってしまいましたね。
ならばどんな場合にネットオークションを利用するのかというお話もしておきましょう。
- ネットオークションを利用して良いのは、バイクを「素材」としてとらえていること。
- たとえ部品取り車でもレストアできるほどの知識と技術を持っているようなひと。
- また、ナンバー登録や名義変更を難なくこなせるひと。
こういう盤石な人なら、ある程度のことを想定内としてオークションを楽しむことができるでしょう。
最もシンプルに言うなら、商品知識を積極的に仕入れようとしない人や、お店のサービスに乗っかることしか知らない人や、完成品的なスペックを求める人にオークションは全く向いていということです。
最初にもお伝えしたように、筆者は、これまでにネットオークションの部品を集めてバイクを造ったことがあります。
何度となく続いたオークションのやり取りの中で、写真ではうまく隠されていた不具合のある、ほとんどごみと化したパーツもいくつかありました。
この中で、エンジンなどの重要部品は近県からの出品者のものを選び、現物確認を行って引き取りに行くようにしていました。
ですからましてや車体については安易に後部も持っていない人が利用するべきではないと考えています。
動画によるバイク中古車ネット販売の是非
最近は動画を使ったバイクのネット販売も盛んになってきました。
これはそうしたネットの表面性に奥行きを補間する意味では有効な方法だと思います。
しかし、何の説明もなくただ、エンジンをかけてバイクをぐるっと一周回るだけの映像がほとんどです。
エンジンの音が分かるというのはありがたい部分ではありますが、例えばそれ一つにしても良し悪しを判断できる耳がなくてはいけません。
視覚情報の危うさを簡単な例で言うと、さび抜きとさび入りのまぐろ一貫を無言動画で見抜ける人はそうはいないわけです。
同じように匂いで言えば、タンクの中でガソリンが腐ってても動画では絶対にわかりませんからね。
こういう点も視野に入れ、「その動画でバイクの状態を最大限伝える努力がされているか?」という事を考えながらチェックするべきですね。
動画集客のうまいバイク屋さんを視野にいれるのもアリ
ただ、うまく動画を使って人気を集めているお店もあります。
例えば、有名なサイトで言うと、ホワイトベースの二宮祥平氏がそうです。
彼は、小さなお店でも丁寧に仕上げたというそのバイクに対する熱い思いが伝わってくるような動画をつくることに長けています。
業界でも非常に注目、研究され動画販売の先駆けになったものです。
参考サイト → https://www.youtube.com/user/techkika
バイクについての多少の知識があり、こうした説明で「よし分かった納得した」となったときに購入もアリだと最近は考えています。
画面上の説明を把握したうえで、お店とのコミュニケーションをしっかりとれることが第一条件にはなりますよね。
販売者との対話と、実際の感触を省いた形での購入は、こと中古バイクに関しては不向きであると筆者はこれまで一貫して主張してきました。
まとめ
ネットさえあれば、人が命がけで集めた情報も、寝食を忘れて懸命に著した文章も一瞬のうちに手に入れることも可能です。
いつしか多くの人が考えることなく人の知に肥えて、たやすく結果を手に入れることに慣れてしまって気がします。
残念ながらインターネットは、3次元の情報を2次元化して伝えているに過ぎません。
それゆえ匂いであるとか感触であるとか、そのほかにも人の5感にとって大切な部分をそぎ落としているにもかかわらず、人は画面の情報をすべてだと信じてしまいます。
中古車選びは、その車種の情報に精通していることが大切なのである意味、インターネットの活用は大変有意義なものです。
しかし一方で、バイクそのものは人の5感そのものを刺激する乗り物で、バイクの良し悪しというのは実は人には伝わりにくい人の感覚にこそあるものです。
概して物事の表面的な部分というのは、いくらでも体裁よく見せることができます。
むしろバイクの売買というのはやはり、「ある程度」を「容認する」という極めて人間的な作業に他ならないのです。
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