バイクのチェーンのメンテナンス、皆さんはどのくらいの頻度でされていますか?
手は汚れるし、しゃがんだ姿勢でチェーン全体のお手入れをするのって、正直面倒だとい方は多いのではないでしょうか?
「目立たないところだから放っておく」なんていう人はいませんか?実は、チェーンはバイクのパーツの中で、最もバイクへの愛情がはっきりとわかる場所なのです。
見る人が見れば、そんなズボラな性格はすっかりお見通し、なんて恥ずかしいことになっているかもしれませんよ。
チェーンのメンテナンスはメンテナンスの中で最も面倒なものではありますが、その一方で、最も重要なメンテナンスのうちの一つであることもまた間違いありません。
ならばもっと簡単にチェーンをメンテナンスする方法はないの? とお思いですよね。
というわけで、本稿ではチェーンを正しく理解して、楽しくチェーンメンテナンスをしていくコツをお伝えします。今回はRKジャパンの市川仁さんの講義と、和光ケミカルのお知り合いである支店長の方にインタビューしつつ書き上げました。
マメにしっかり行うことで、チョイ馬力アップも夢ではありませんよ。
スポンサーリンク
Contents
バイクチェーンのメンテナンスを怠ると・・・
もしも、バイクのチェーンが全く手入れをせずに使い続けたらどうなるか、想像されたことはありますか?
バイクのチェーンは、ほぼ例外なく鉄でできていて、大体1.5kg~2.5kg程の重さがあります。錆びたり、オイルの差し方を誤って一部が固着したままにしていると、最後には破断してしまいます。
高速回転中に破断したチェーンは、クランクケースをたたき割るだけで済まない場合が多いのです。
万一体に当たったならば、足を失ったり、最悪、命を失うことにもなるのです。
そうした事態に遭う前に、「あってはならないチェーンの状態」を知っていただくために、いくつか写真でお示ししますので、ご認識いただきたいと思います。
1.固着や傷
・表面にひびや、割れがあるもの。

参考元→固着チェーン
2.ひどい錆
・錆て明らかに動きが渋くなっている。
・チェーンがすれて音が出ている。
参考元→ひどく錆びたチェーン
3.また、チェーン以外にも、スプロケットの歯が細く立ち上がってきているもの (フロント・リア両方)

このほかにも、チェーンのピンが割れてチェーンが真ん中から裂けたようになることもあります。
今、これらに該当している方は速やかに、前後のスプロケットと一緒にチェーンを交換されることを強く勧めします。
バイクチェーンの構造を知ろう
自転車に乗っている人で「チェーンは錆びても灯油に浸しておけば使えるようになる」ということをお聞きになったことがある方がおいでかもしれません。
しかし形は似ていますが、バイクのチェーンは構造が少し違っていますので、その方法でやたらと油をかけてしまうと、固着や破断の原因になります。
まず人力で回すものと、エンジンが回そうとするものには、違いがあるものとご認識ください。
現在のほとんどのバイクには、「シールチェーン」と呼ばれるものが採用されています。
これは耐久性を高めるため、内プレートと外プレートとの間にグリースを封入するための「シール」と呼ばれるゴムが挟んであることが特徴です。
参考元→https://campaign.webike.net/2013/06/did_webike_vol2/#a02
上の参考もとの写真のように、チェーンは、外プレートにピンがついて、シールを挟んでから、その中にブッシュのついた内プレートが入ります。
そこにローラーを入れて、内プレートを圧入、またシールを挟んでから外プレートを圧入したものを一つの構造にしています。また、そのほかに最近ではローラーにゴムやシリコンを巻いた、「サイレントチェーン」もあります。
チェーンはエンジンの動きを後輪に伝える大切な役割をしているわけですが、チェーンの動きが悪くなると、その分だけパワーロスになり、振動や異音の原因にもなります。
ですから、チェーンについた砂や汚れは取り除き、チェーンに余計な抵抗を造らないように保持することは、乗り心地やパワーフィールの向上、燃費の改善にも役立つというわけです。
チェーンルブの種類と扱い方
メンテナンスにはゴムに攻撃性のある油は厳禁
基本的なチェーンの構造や、メンテナンスの必要性はご理解いただけたと思います。
チェーンメンテナンスの内容は、
- 外側プレートと内側プレートの間から、ピンとブッシュ、ブッシュとローラーの間のチェーンルブを補給する
- 錆ないように、外観を油分で保護する
この2つが大きな目的です。
チェーンを磨いて、注油することが大切なのですが、きれいになるからと灯油やガソリン、あるいは乾燥の遅いパーツクリーナーをかけてしまうと、ゴムのシールが解けたり、硬化して破れたりして、封入されたグリースが抜けて危険な状態をつくってしまいます。
また、チェールブは他の油脂製品とは違い、それ自身が粘り気を持っていて、遠心力で飛散してしまうのを押さえる役割があり、シールゴムを痛めないのが特長です。
メンテナンスには必ずチェーンルブ(チェーン専用油)を使いましょう。
チェーンルブの種類と性質
チェーンルブには大きく分けて2種類あります。
- モリブデンなどの鉱物を主体とするもの
- フッ素樹脂系オイルを主体とするもの
値段的にはモリブデンの方が安いのですが、飛散が激しい、そしてホコリを呼んでしまうという特徴があります。
これに対してフッ素系はやや高くなりますが、飛散しにくく分子が細かいので浸透性が高いなどの特長を持っています。
注油のタイミングとしては、500㎞に一度というのがメーカーの推奨値ですが、雨天走行後は半減していますので、かならず注油が必要です。
その他、砂やホコリ、冬季の凍結防止剤が付着した場合などは、早めに処置しなければなりません。
要は、チェーンのピンとブッシュとプレートの油分が保たれていればいいのです。
スポンサーリンク
汚れる頻度が高い用途でバイクに乗るのであれば、チェーンメーカーが出しているホワイトルブをこまめに足し続けることで十分です。
1つで3役!筆者オススメの超高機能チェーンルブ
180mlで1,800円と値段はお高い感じですが、このチェーンルブ、ただものではありません。
どういうところが凄いかというと、
- フッ素系なので、清掃が済んでいれば、素早くで足りない部分に自ら到達して浸透する
- さらに「水置換性」といって水分を追い出す働きがある
- また、ホコリを寄せ付けにくい性質を持っている
筆者もこの商品の愛用者ですが、無色透明なので、普通のフッ素ルブのように白濁した液がまとわりついた仕上がりにならず、カラーチェーンをきれいに見せて保護してくれます。安いものよりも一回の寿命が長いようで、飛散も非常に少ない優れものです。
他のルブより汚れの付着も少なく、ついた汚れもさっと落ちるので、オフロード走行や通勤などで雨によく降られる季節などのメンテナンスが楽でした。
難点を言えば140リンクくらいのバイクで4回持つかどうかという容量の少なさ、ただこれだけの商品ですから、他社の大きな缶と同じ容量なら数万円してしまうのでしょうね。
バイクのチェーンにBESTなお手入れ方法は?
チェーン周りのメンテナンスは実に面倒なものですが、道具を整えておけばそう煙たがるほどのものでもありません。
バイクに見合ったメンテナンススタンドがあれば作業がはかどります。
メンテナンススタンドがあれば、チェーンだけでなくバイクを立てた状態で、幅広い整備が簡単にできるようになりますので、ぜひ備えておくといいでしょう。 また、車があればそのパンタグラフジャッキなども有効です。
- 後輪を少し浮かせる形を安全に作って作業します。
- 作業前に飛地面に廃段ボールなどを敷きます。これにより、油の飛散を防ぎ、膝や腰のダメージを防止ことができます。
- タイヤやホイールを汚さないようにウエスでカバーします。
- チェーンクリーナーをウエスに塗ってそれでチェーンを拭きながらチェーンの大まかな汚れを取ります。(チェーンクリーナーには少量の灯油が含まれている場合があるので直接チェーンに 噴射しないようにします。)
- やわらかめの整備ブラシで間の砂やホコリを取り除いたあと、ワコーズBC-9(速乾パーツクリーナー)を新しいウエスにとり、余分なチェーンクリーナーを落とします。
6. プレートとプレートの間、ブッシュとローラーの間に向けて少しづつチェーンルブを噴射して、きれいなウエスでルブを伸ばしていきます。
(一気に全体へ噴射するのではなく、まんべんなく油分をいきわたらせるようにして、油膜でチェーンを包むイメージが大切です。)
7.1000km~2000㎞走行ごとにチェーンの下中央部の垂直方向への押し引きの幅が20mm~25mmになるようにたるみを調整します。
8.また、シールチェーンの寿命は20000㎞前後とされていますが、それ以外にも最初に示した錆や固着、スプロケットの異常摩耗があった場合には、速やかに前後スプロケットとセットでチェーン交換が必要です。
必ずチェーンメンテナンスの際には合わせて点検しましょう。
まとめ
今回の内容は、かつて参加したRKジャパンの市川仁さんの講義と、和光ケミカルのある営業所長さんのお話しを基に書いています。
市川さん曰くチェーンのメンテナンス次第で多少馬力が変わって来るのだそうで、さらには、「軽量なリプレイスチェーンに換えてしっかりメンテナンスするだけで4PSもパワーアップするバイクもある」ということです。
同じように和光ケミカルさんも、「オイル類も高いと敬遠せずに内容で選べば、寿命も燃費もレスポンスも向上させられる」とおっしゃっていました。
お二方のお話を総合すると、基本をしっかりこなして、正しい知識を持ってバイクに愛情を注いでいるだけで、相当な差が出る、「メンテナンスはライトカスタムである」ということに行き当たります。
なので、チェーンの汚いカスタムバイクというのはいただけません。最初にも申し上げたように、チェーンの保守は命の保守なのですから。
スポンサーリンク