正直、「Z1ってそう簡単に手放そうと思うものなのか?」と思って執筆に際してたじろいでいる部分もあります。
今回はあのカワサキの名車、Z1のしかも買い取りについてお話をするわけですが。
オーナーさんや、Z1が何か知っている人にとっては少なくとも「普通のバイクじゃない」ですよね。この普通じゃないところは後述していきます。
しかしこんなに歴史的な名車、「普通に買い取りに出したらいったいいくらするのよ」とたまに好奇心半分に思ったりしませんか?
ひとまず、バイクワンの自動査定で大体の査定額を見てみてください。
でもこちらは個人情報の入力も要りませんし1分足らずで予想査定額が出てきます。いかがでしょう?結構凄い金額でしょ。ネット査定の有り様については巷で云々言われていますよね。
本稿ではZ1の特長や欠点を知り、ちょっとした知識と手間を惜しみなく駆使することで査定額を自動査定の結果に近づける方法をお伝えします。
これは筆者が元買い取り店店員だったからこそお伝えできる、マル秘なお話を存分に盛り込んでいきますよ。
Contents
カワサキZ1の特徴と買い取り前提の準備
参考元;https://www.kawasaki-cp.khi.co.jp/Z_special/history/
Z1を今のバイクと同様に扱うのはまず無理
世界で初めてDOHC4気筒エンジンを搭載したバイクとして1972年に登場。日本では750㏄以上のバイクの販売が認められていない時代です。海外、特に北米のマーケットを徹底リサーチして大ヒットとなり、日本のバイクの地位を著しく向上させたバイクのうちの一つとして数えられます。
恐らく説明なくこのバイクを始めてみる世代の人には大柄なちょっと古めかしいバイクにみえてしまうかもしれない。しかし今で言うなら、Z1は今のH2のような存在。
何もかもが最新鋭で、市販車最速にして運動性能抜群のバイクだったのです。
若い世代には特にイメージしていただきたいのは、コンピューターを使って設計したり、
ものを造るなんて発想だにしない時代の産物だということ。
当然、手計算と職人の勘や腕でこの精密なエンジンや車体が造られ、機能していることに思いを寄せて欲しいですね。
つまりアナログかデジタルかなんて選択の余地もなくアナログしかないバイク。点火には「タイミング」と呼ばれる火打石のような消耗品を勘を頼りに正確にセットしなくてはいけないし、気温や湿度によってエンジンは影響されやすく非常にデリケート。
それ故素直にエンジンをかけるのも芸のうちといわれ、その維持において「簡単」という言葉は1光年ほど離れた宇宙にあるといっても過言ではありません。
今のバイクもこうした原始的な構造の改良の積み重ねによって便利にできているわけですが、
少なくともZ1は、今のバイク同様に買ってきて完調が当たり前で「バイクが不調だ」とすぐ文句を言うような人には絶対に乗りこなすことができませんよね。
バイク、というか「内燃機」というものを愛好し、トラブルを克服しながらその経験値を上げていくもの楽しみの一つと考えられるような人でなければ、このバイクを愛好することは不可能でしょう。
今年で誕生45年を超えるクラッシックバイク。
パーツはメーカーからライセンスを受けたドレミなどのショップが少量生産で供給していますが、純正部品はあるはずありません。
ですので、完調な個体として維持されていること自体に芸術的価値があるのです。
もしもZ1を売るのであれば…
やはり、Z1ほどのクラッシックバイクになるとちゃんと動ける個体であること自体が凄いのですが、メーカー純正の当時物のパーツがしっかり維持されているものほど高いですね。
- とにかく欠品をなくす
- 徹底的に磨く
- エンジンが普通にかかるようにしておく
少なくともこの辺がZ1にとっては最低限と言えるでしょう。
いずれにしても査定に出すなら、洗車や整備は欠かせません、そのまま査定員さんに見せちゃだめですよ。
Z1の修理や対策を万全に
Z1は完調であれは、のりごこちもいいですしグイグイ引っ張っていく感じは個性的で面白いバイクですよね。
問題は先述のようにすべてがアナログなので完調を維持していくのに非常に労力とお金が必要なことです。
キャブレターの同調などはZ1の場合狂いやすいのですが、こうした軽微な調整は済ませておいた方がいいですね。
旧車ゆえのものかもしれませんが、Z1・Z2はオイルにスラッジ(金属カス)が溜まりやすく、オイルストレーナーを詰めてしまっているようなものもあります。
新品のガスケットを用意してオイルパンを外してしっかりその辺りを磨き込むだけでだいぶ調子も変わってきますのでこれで改善できる個体についてはしっかり整備をしておきましょう。
ついつい「旧車独特のもの」と多めに見てしまいがちなことも多いようです。エンジン回りのパーツは鋳物なので、見えない部分にクラックが入ってオイル漏れを起こしているものもあると言います。
できるだけ補修で直せるものはなおし、現存パーツとの交換が必要なものについては予算と相談ですね。
また、
Z1に乗っていてまず知らない方もいないと思いますが改めてご紹介すると、「ドレミパーツ」にて純正品のウインカーレンズから多少の重要部品・絶版パーツはこちらで手に入れることができます。
参考サイト https://www.doremi-co.com/
日頃からご自分で整備ができるか、よっぽど信頼のおけるお店やお友達がいないと意地が困難な車両。こういうショップでパーツを供給してもらえるのは大変心強いですよね。
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カワサキZ1の年式・形式別買取相場目安は?
Z1は1972年製造がはじまり、毎年改良を加えながらZ1A、Z1Bを含む3世代のモデルが存在します。オートバイ然とするオーソドックスなスタイルは見る人に硬派なイメージを与え、今なお人気のマシンです。
各年式ごとの仕様の違いなどは後述の買い取り査定額予想表に盛り込んでいきますね。
今回は買い取り額をなるべく高くするお手伝いをしているわけですが、目指すべきところは、
査定員さんの提示金額を聴くだけではなく、積極的にこちらから値段を提示する。
これが理想の「売り渡し」をすることです。しかし、高い金額と言っても適当な値段を言ったのでは仕方ありません。
それにはまずは売り手が積極的にバイクの相場を研究把握しておく必要があります。
更に相場を理解するためのポイントは2つ
- お手元のZ1の年式や仕様を把握しておくこと
- 中古車情報サイトでZ1の相場を把握する
この二つです。
各年式ごと筆者が目安として予想金額をお示しします。
それでは参考までに下記をご覧いただきますね。
Z1年式・特長・各予想相場 | |||
発売年 | 車両名
|
型式名 | 相場 (万円) |
1972・8~
1973・7
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Z1 | Z1 |
135~325
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型式の特長
北米市場を開拓する目的で企画され初のDOHC4気筒エンジンとして世界を驚かせ、HONDAのCB750Kと共に日本のバイク、日本の工業力を世界に知らしめた一台。
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1973・8 ~
1974・4 |
Z1 |
Z1A |
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型式の特長・変更点
カラーリングの変更 エンジン点火時期
を備えた。
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1974・8~ 1976
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Z1 |
Z1B Z900 KZ900
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型式の特長・変更点 当時ドライブチェーンにシール加工がなかったので、 チェーン給油装置がついていたが、 シールチェーンの採用でこの装置が廃止になった。 エンブレムの「900」にレタリング変更があった。 Z900やKZ900ではイージケーター周辺のパネルデザインを変更。 バッテリー搭載位置やエアクリーナーボックスの変更。 欧州仕様にはフロントブレーキをダブルディスク化 マフラーは外観を同一にしながら音を絞った形にした。 |
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執事参考元、
※予想価格は中古バイク情報誌の12月8日現在の販売価格から参照。
今回は距離を15,000km~30,000km
下記条件にて設定して買い取り額を想定しました。
判定条件として
- 完調・美車・欠品なし
- マフラー等小改造車
を想定しています。
今回に限りZ1の予想査定額についてちょっと解説します。
検索時に古すぎて年式設定がかけられず、グレード選定もできないのでこのように「Z1全体」の現在の査定価格予想という扱いになります。
ご覧のように相当高額で開きのある設定としました。
大体、普通に使っている車両ですと売価が150~170万円位になります。
それから、マフラー等に変更がなく4本マフラー等ノーマルの形態に近いもので180万円~250万円くらいの売価です。
そしてノーマル状態に完全フルレストアされた個体は390万円ほどの値がついています。
普段は売価から20万円程度を引けば大体の相場としてその金額を頭に入れておけばいいのですが、Z1は20万やそこらの金額ではちゃんと直らないこともあり得る車両です。おそらく35万円~50万円近くの整備費用を(ちょっと大げさ気味に)引いた金額として考慮しています。
ただ相場は生き物のように変化します。
時期によって表の内の想定買い取り額も多少の差や変化があってしかるものです。
あしからずご了承ください。
まとめ
始めに申し上げたように、Z1は既に単なるバイクではありません。
大排気量のネイキットバイクで走りたいだけなら、ゼファー1100のZ1ポイ外装の車両や他社のインジェクションで手間いらずの車両の方がいいに決まっています。
でもビンテージというのは魔法のような言葉です。
例えばジーンズにしても解れて穴の開いたものが数百万円で取引されていたり、ギターのアンプでも真空管の方が(確かに音がいいので)昔のものの方が効果で取引されています。
それは、年代ゆえの手間のかかり加減を「味」として愛好したり「当時と同じ」「二度と手に入らないかも」という感覚に値打ちが見いだされるもので、Z1のようなクラッシックバイクは
もはやバイク単体の値段としてではなく、芸術作品のような値段のあり方になっています。
ですから冒頭申し上げたように、買い取りという視点でこのZ1という車種を語るのは恐れ多いことなんです。
多分愛好者の方であれば、たとえ家が火事になってやけどを負っても真っ先にZ1だけは担ぎ出したい。そんな車種でしょう。
しかし、万一それこそ断腸の思いでZ1を売らなくてはならないとき、やっぱりその辺のバイクと一緒にされたくはないですよね。
ということで今回は先述解説した方法含め、強気にこちらから策定した額を提示して強気で売っていく方法をお伝えしました。
紙面上の関係でまだお伝え足りない部分も多いので、
さらに詳しくという方には下記記事にて紹介していきます。
お役立ていただければと思います。これは業者さんが来る前に必ず読んでおいてください。
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